昔を懐かしむ98歳の母、昔のことをしっかり覚えています。
親戚のご夫婦が、わたしの母に会いに来てくれました。
ご主人はわたしのいとこです。
幼い頃、よく遊んでもらったものでした。
わたしが高校生の頃、私たち家族は引越しました。
だから、その町とは縁遠くなりました。
そのご夫婦は、わたしが生まれ育った町にずっと住んでいます。
ご主人は73年間です。これからもです。
母はその頃の町内会の人たちのことをいろいろと尋ねていました。
母は、しっかり覚えています。
そのご夫婦は答えてくれます。
「もう亡くなっているよ。」
「今、どこに住んでるのかわからないよ。」
「そこは、もう、空き地。」
私たちの住んでいた家は、空き家になっているそうです。
その町は、子供が少なくなって、学校が統合されたり、公営市場が無くなったりと、閑散としているそうです。
「もう98歳やから、おばさんがその頃知っている人はもういないよ。」
と、73歳と70歳のご夫婦は母に言っていました。
それはそうですよね。
わたしは、そんな話を聞いていて、幼い頃に遊んだ町の様子が頭の中で鮮明によみがえってきました。
懐かしいというよりも、さびしい。
母は、今、98歳です。