人生100年時代〜どうしましょ!〜

豊かな暮らしとは・・・日々を綴ります

母 

2年ぶりの更新となりました。

母がなくなってから2年・・・

母のことを綴っているブログを見るのがつらくて

そのままになっていました。

 

先月、母の納骨式がありました。

コロナ感染拡大でお葬式に参列できなかった親戚にもお参りしていただけ、

亡き母のことを語り合いました。

 

私も年齢を重ねていくうちに

老いていく母の気持ちがよくわかるようになりました。

 

もっと母にしてあげたかったことがたくさんあります。

生きているうちにしてあげたかった・・・

 

 

 

知り合いから頼まれて、

「わたしの人生」という題で、綴りました。

 

 

女のくせに

女は黙っとけ

女だてらに・・・

今までどれだけ、この言葉を聞いてきたことでしょうか。

母は私に言いました。

「女三界に家なし」と・・・

女は

幼少の時は親に従い

嫁に行っては夫に従い

老いては子に従う

この広い世界どこにも落ち着かせる場所がないと・・・

また、

「鯛は腐っても鯛 男も鯛と同じ」とも・・・

男はそんなに偉いものなのか

男というだけで・・・

父は男だったので、

逆らうことなど許されず

父の説教の際には正座して、

ただひたすら時の過ぎるのを待っていました。

真剣に聞くふりをして、

他のことを考え、

口答えをしなくても済むようにしていました。

食事中に父の機嫌を損ねると父はお膳をひっくり返す

私が言うことを聞かないと父はサシで叩く

大声で罵る

父の前ではいつもビクビクしていました。

本当に怖かったです。

でもそんな父を嫌いだったかというと、

そうでもなく

父を怒らせる自分が悪いのだと思っていたような気がします。

怒っていない時は優しい父だったからです。

でも父がいつ豹変するのかわからないので、私は言動に気をつけていました。

男は偉いのだから仕方ないなあ・・・

怒らせないように気をつけよう

怒らせてしまう私が悪いのだと・・・

でも、母は結構言いたいことを言っていました。

夫婦ゲンカが絶えませんでした。

父の怒鳴る声が近所にまる聞こえ・・・

そんな時は、家の前に近所の人がきて、聞き耳を立てていました。

夫婦喧嘩は犬も食わないというのに・・・

幼い頃の私は、とても恥ずかしい思いをしました。

母は、

「これからは女も資格を取り、仕事を持って、

男に頼らなくてもいいようにしないといけない。

看護婦、警察官、教師がいいよ。」

とわたしに言っていました。

母は茶道、華道、お料理、裁縫など、

花嫁道具になる習い事はしていましたが、仕事にするにはなんの役にも立ちませんでしたから・・・

というわけで、教師という仕事を選んだわけです。

私が大人になった時に

母は初めて私に打ち明けました。

母は裕福な家で育ち、

欲しいものは何でも手に入れることができました。

そんな家で育った母が嫁いだ先が財産家、

「この子はお金がなかったら好きなものも買えないから、金持ちの家に嫁がせよう」と見合い結婚をさせられたのです。

財産があっても、姑が家を牛耳っていて、いびられ、

婿さんは愛人がいました。

それには我慢できずに、母は、離婚して帰ってきました。

昔でいう「出戻り」です。

その時、母には子どもが二人、

経済力もない母は

泣く泣くその子たちを手放し、実家に帰ってきました。

それ後に知り合ったのが私の父です。かっこよかったそうです。

2度目の結婚

駆け落ち同然で一緒になり、子ども3人に恵まれました。

そのうちの一人が私です。

弟が泣いていると「男のくせに泣くな」

私が泣かないで我慢していると

「泣きもしないで可愛げのない子や」と言われました。

私と弟との接し方の違いにも差がありました。

私には「我慢しいや我慢したらきっといいことがある」と。

女に生まれてなんか損したなあ・・・

なんて、子ども心に思ったものでした。

母が職業婦人だったら、離婚しても子どもを引き取って育てることができたのかもしれません。

自分の自由になるお金があったのかもしれません。

金銭的に男に頼らなくても生きていけるようになること

女が自立するには仕事を持つことが大切であるということを教えてくれた母です。

そんな母は102歳7ヶ月の生涯を閉じました。

生前母は元夫の亡くなった年齢よりは長く生きたいと言っていました。

母の元夫は102歳6ヶ月で生涯を閉じています。

母の願いは叶いました。

先日、母の嫁ぎ先に残してきた息子が母の納骨式に参列してくれました。

その時に昔の母の話を聞きました。

母が嫁ぎ先の家を出る前日、一緒にお風呂に入って、体を丁寧に洗ってくれたと・・・

どんな思いでこれから別れる我が子の体を洗っていたのでしょう。

「これからは女も資格を取り、仕事を持って、男に頼らなくてもいいようにしないといけない」

と、私に教えてくれた母

その時、我が子の体を洗いながら、

我が子を嫁ぎ先においておくことの無念さ、自分に対する不甲斐なさ、経済力さえあればという思い、女に生まれてきたことの辛さ・・・

色んな思いがよぎっていたことと思います。

「三界に家なし」と言っていた母

今、どんな思いで、向こうの世界で暮らしているの?

幸せだったの?

思い残していることはないの?

母に会いたい・・・・